2021年07月15日
こんにちは。
Sakaseru代表の小尾です。
先日トリリオンゲームの花事業監修をさせて頂きました。
こちらの情報を公開しても良いタイミングになりましたので、コラムにてご紹介させて頂きます。
作品、そして稲垣先生への想いが熱くなり長文ですが、是非最後までお読み頂けますと光栄です。
稲垣理一郎先生原作、池上遼一先生作画による若き起業家の軌跡(奇跡)を描いた作品です。
破天荒で熱い気質のハルと、真面目なエンジニアのガク。正反対とも思える彼らがゼロから起業して様々な困難を克服するストーリです。
4月某日小学館スペリオール編集部さんから次のようなお声がけを頂戴しました。
「ITの技術を持った主人公たちが花業界で起業する場面を数話にわたり描きたいと考えています。御社のサービスや小尾様のインタビューを拝見して、原作者・稲垣理一郎氏が是非一度お話を伺いたいと話しております。」
大変偉そうな言い方になってしまい恐縮なのですが、色々な会社様からインタビューのお声がけを頂戴することは少なくないのですが、残念ながらサービスや過去の僕の記事を見て頂いて声をかけて下さる方は非常に少ないのが現実です。
そんな中、大変活躍されている稲垣先生がわざわざ僕のことを調べて下さったことが何よりも嬉しかったのです。
加えて、稲垣先生の事を調べてみると、小中学生のときはパーソナルコンピュータでゲームを作るのが趣味であったり、ご自身の漫画にスタッフロールを掲載される素敵な方であることが分かりました。
僕も日々1000行以上のコードを書くエンジニアですし、一緒に働くスタッフに対しては僕なりに敬意を払っている為、稲垣先生とだったらきっと上手くお話が出来るだろうと強く思い、この度の監修をお引き受けさせて頂きました。
作中のハルとガクは事業の一貫として彼らなりのAI技術と共に花業界に乗り込む事となります。「彼らなりのAI技術」は是非原作を読んでみて下さい。
ハルのぶっ飛び具合や頭の良さが分かります 笑
今回の監修では、
・お客様がどの様なニーズと共に花を買われるのか。
・花業界の業界構造。
・AIを花業界で活かすのであればどの様な使い方をするか。
・過去の歌舞伎町の花屋での経験。
・起業家と大きな会社がやり取りする際のセリフの言い回し。
以上を稲垣先生と話しながらお伝えさせて頂きました。
大変失礼な言い方になってしまうのですが、僕は今回の監修のお仕事をさせて頂くまで、監修とは名ばかりで特に作品とは深く関わらないのではないかと勝手に勘違いしていたのですが、実際は異なりました。
業界の大局的な事からディティールまでかなり詳しくインタビューして頂きましたし、特に花業界でAIを利用する話に関しては僕なりに知恵を振り絞ってお答えをさせて頂きました。
トリリオンゲームはエンターテイメント性のある作品ですが、その素地にある情報や事実はかなり現実に沿った素晴らしい作品だと思います。
まず、Sakaseruをご利用頂いているお客様がいなければ今回の監修は行なえませんでした。お客様が想いを込めてお花をご注文下さるからこそ、それに応えようと僕たちは考え、プロダクトを改善し成長させて頂いています。
キャラクターを造形したフラスタ。真っ黒に染めた楽屋花。花言葉が込められた花束。
有り体に申し上げると、花を扱う人間からすると手間が掛かったり、制作が困難であるご用命も多数頂戴する中で、期待を超える商品を提供する為に考え抜いた事や、実行してきた事が今回トリリオンゲームという素晴らしい作品に活きたのだと思うと、いつもSakaseruをご利用頂けるお客様には感謝しか御座いません。
本当にありがとうございます。
監修の打診を頂戴してから3日後、原作者の稲垣先生と編集者さんがわざわざ蔵前の事務所まで来て下さいました。
インタビューの時間は2時間程度だった気がしますが、あっという間の時間でした。
業界構造の話から歌舞伎町で働いていた時代の話まで、幅広いお話をさせて頂きました。
お話させて頂いて気付かされたことが、稲垣先生の3つの凄さです。
下記あくまでも僕個人の感想になります。
花業界は一般的でも何でも無いのですが、僕が構造や詳細の説明をすると、「こういうことね」と紙の上にあっという間に状況を図解されますし、僕の説明上構造的に欠落している部分や理論的におかしい部分は鋭く質問をして頂きました。
僕の説明をそのまま受け止め解釈する事も出来たと思うのですが、ディティールまで質問頂けたので、こちらも返答のし甲斐が非常にありました。
知識ゼロの状態からあっという間にご自身の知見に昇華される姿を目の当たりにしました。
インタビュー内容をそのまま漫画にしてしまうと、所謂業界の白書をそのまま漫画にしました、的な内容になってしまうと思うのですが、稲垣先生の凄さはリアリティのベースは保ちながらも、読んでいて全く嫌味のないエンターテイメントに仕上げられる事だと思いました。監修させて頂いたパートを読ませて頂いた時に、まるでハルとガクという演者が僕の話を聞き、「じゃあ、トリリオンゲームの中ではこう演じてくるね」と演じてくれているようで、胸を打たれました。
リアリティとエンタメ。どちらか一方に振り切るとこの作品は成り立たないと個人的には思いますので、稲垣先生のバランス感覚が作品を形容しているように思えます。
インタビューでお話させて頂いたことは、冒頭に述べたように多岐に渡ります。
言ってしまえば、情報が散在している状態です。
インタビューを終えた後「こんなに沢山の情報が散在している状況で、果たして一つのストーリーを組み立てられるのだろうか?」と半分疑心暗鬼でした。
しかし、出来上がった作品を読んだ瞬間、そんな不安は一気に吹き飛びました。
散在していた情報の中から、作品にとって本当に必要な情報が的確に使われていて、花業界に乗り込む前後の文脈も至極自然。
加えて、インタビューしてから漫画の構成が出来上がるまで2ヶ月弱。
無秩序とも思える情報のピースを、あっという間に一つの作品に落とし込む凄さは、恐らく常人に出来ることではないと思います。
以上が僕の稲垣先生に対して思った凄いこと3選でした。
約2時間という短い時間でしたが、素敵な方とお話できて本当に幸運でした。
稲垣先生、凄い。。
僕自身の話となってしまい、大変恐縮なのですが、
自分は元々ITエンジニアとして働いた後、社会に適合することが出来ず歌舞伎町の花屋でエンジニアとして働き、六本木に花屋を作り、その後Sakaseruを起業しました。
僕が起業することが出来たのは、歌舞伎町時代、僕を拾ってくれた歌舞伎町の花屋ゴッサム代表の西山さん(現在は歌舞伎町のみならず、飲食や多方面で成功している方です)がいたお陰です。
トリリオンゲームに登場するハルとガクは、当時の西山さんと僕の関係性に非常によく似ていて、読んでいると当時の辛かったこと99%、嬉しかったこと1%。それぞれ思い出し、何とも言えない感情で漫画に没頭していました。
ハルはハッタリが得意で思い立ったら直ぐに行動をする正義感の強いタイプ。
西山さんにそっくりなキャラクターです。
※ハッタリは起業家にとって非常に重要な要素です。
ガクは気が弱いけれども真面目なエンジニア。プログラムのコードを書く時は人が変わったように本領を発揮するタイプ。ハルのぶっ飛んだアイディアを形にします。
真面目な部分を除いて、恐らく僕にそっくりなキャラクターです。
ハルとガク。どちらが欠けても事業は出来ませんし、それは西山さんと僕もそうでした。
対照的なタイプなのでぶつかる事も多かったですが、二人がシンクロする時には今までに無かった価値が生み出されていた気がします。
作中のハルとガクに自分自身が投影される感覚を覚えました。
加えて、僕はハル(西山さん)の様な人にずっと憧れを持ち続けていました。
どの様な大変な状況であっても、自らの信じた正義と行動力と共に乗り越える力を持ち、周りの人間を巻き込むヒーロー。そして光。
一方僕は、人前に出ることが性格上出来ず、裏方でひっそりとコードを書く陰のような存在。
トリリオンゲームを読んでいても、ハルはカッコ良すぎてずるいよ。
そんな事を終始思っていました。
西山さんと僕はSakaseruを起業する際に本当に色々なことがあってお別れしましたが、今では二人共別々の道を、自分達なりに歩んでいます。
作中のハルとガクはこれからどうなっていくのか。
僕自身の成長が彼らに劣らないかドキドキしながらも、見守っていきたいと思います。
今回は、トリリオンゲームの花事業監修をさせて頂いたこと。稲垣理一郎先生の凄さ。作品と自分自身について。以上をご紹介させて頂きました。
作品を通じて世の中にはこういう生き方をする人たちもいるんだな、ということが伝われば大変嬉しいです。
漫画自体もめちゃくちゃ面白いですから、是非手に取って読んで頂けると光栄です。
改めまして、今回は貴重な機会を下さった 稲垣理一郎先生、小学館スペリオール編集部さんに大変感謝しております。
また、いつもSakaseruを使って下さるお客様、一緒に働いてくれているスタッフ達に感謝致します。
8月4日には単行本第2巻が発売されますので、是非第1巻と共にお手に取って頂ければ嬉しいです。
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