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「人生を変えられる舞台」を目指して 俳優・瀬尾タクヤの道程

8月某日、夏らしい爽やかなシャツ姿で、都心のカフェへ現れたのは、俳優・瀬尾タクヤさん。

今春に上演された舞台『PSYCHO-PASS』や、6月の『バクステ!!』といった話題作にも数多く出演されている、ご活躍中の俳優さまです。
『バクステ!!』にて、あるお客様からご依頼頂き、Sakaseru通じ瀬尾さんにお花をお届けさせて頂きました。そのご縁から、この度インタビューにお答え頂くことができました。

「瀬尾タクヤ」という人にとって、 “役者” とはどんな仕事なのか。
それに大きく関わるエピソードや、ファンへの感謝の思い……様々な角度から、瀬尾さんの言葉で語って頂きました。





“倉本先生の作品に出る事が出来なければ、役者になる意味がない” 劇作家・倉本聰先生への敬愛とアプローチ



大学時代演劇サークルに所属していたのが、僕の役者人生の始まりでした。

それから何年かして「北の国から」を観たことで、脚本家・劇作家でもある倉本聰先生の熱烈なファンになりました。
先生の作品を見ると、止められないほど、ボロボロ涙が出る。こんな経験は人生で初めてでした。「愛」に溢れ、生きる上での本質を見事に突いている先生の作品が、本当に好きになったんです。「北の国から」を見て、倉本先生に毎月お手紙を書くようになりました。

手紙を書き始めてから一年とちょっとした後に、東京で倉本先生が主宰する公演がありました。その終演後のサイン会で「出して下さい」と頭を下げたのですが、文字通り一蹴。結構すごい剣幕で、取り付く島もない雰囲気でした 笑


しかし、そこで諦めることはありませんでした。倉本先生の作品に出る事が出来なければ、今後役者として生きる事は出来ないと、自分の中に課していたんです。
むしろ、「絶対に出演できる。」根拠のない自身が僕にはありました。

それほど倉本先生の「大きな愛」を感じていたし、信じていたんです。


その後も諦めずにお手紙を送り続けていたら、一年くらいした後に、富良野GROUPのプロデューサーさんから「オーディションに来れないか」との電話を頂き、富良野にオーディションを受けに行きました。

無事オーディションに合格し、そこが僕の役者人生のターニングポイントにもなりました。



想像を超える厳しい稽古の日々、倉本先生のもとで得たもの



倉本先生の舞台に出られる事は、本当に嬉しかったのですが、その稽古は想像を遥かに超える厳しさでした。
倉本先生に怒鳴られる日々。僕が何故叱られているのか、怒鳴られているのかも分からない日々が続き、段々と萎縮してしまうようになってしまいました。
それどころか、舞台初日の舞台裏では、倉本先生への反発心まで覚えるほどに。
あれだけ敬愛していたにも関わらず、です。

しかし、反発心がありながらも舞台自体は演り終え、カーテンコールの時間になりました。
そこで、僕は全く想像もしない光景を眼にすることになります。

鳴り止まない拍手。
観客の方たちが、今まで体験したことのないような熱い拍手をくれたんです。

カーテンコールはいつまでも終わらず、それは5回も6回も続きました。

倉本先生に理不尽に怒られていたと思っていたのに、先生の厳しさは「愛」そのものだったのだと。最初に信じていた通り、偉大な存在だったのだと。
その瞬間に、身をもって感じることが出来ました。





“嘘の無い演技をしたい” 今、「役者」に思うこと



そんな経験のあと、現在「役者」という仕事に対して思うことを、誤解を恐れず言えば、「社会に中々適応出来ない人がなる職業」だと思っています。

例えば、会社で上司に何かを言われたら、本当は違うと思っていても従わないといけないですし、もしかしたら顔色を伺う必要もあると思います。僕、あんまり得意じゃないんですが 笑

でも舞台は自分の喜怒哀楽の感情を素直に出して、それで成立すれば良い世界です。
だからこそ、その感情や表現に ”嘘” があってはいけないと考えています。

例えば、涙を流すシーンがあったとして、それが ”嘘泣き” であってはだめです。
むしろ、役者自身が隠しても涙が溢れるような感情にならないと、自分の中で演技だとは言えません。
涙が溢れそうなとき、涙を隠す。その葛藤が美しいと思うのです。

その演技、表現のためには、脚本の本質を理解をして、役者として誰よりも努力をする必要があります。
常に「どうしたら芝居がうまくなるのか」「どうして自分は芝居をやっているのか」、自分に問いかけ、考え続けています。



役者として生きていく



2018年にフリーランスの役者になったのを機に、ここ1、2年がターニングポイントだと感じています。
まずは与えられた役をきちんと演じ、”面白い舞台” を、来て下さる方に観てもらいたいです。

僕の言う面白い舞台とは、「人生を変えられる舞台」の事です。

かつて倉本先生の舞台を見て、涙が止まらなかった様に。今度は僕が演者として観客の方に観てもらえるよう、役者として生きていきます。



花を贈って下さるファンに向けて



まずはいつも僕の演技を観に来てくれる、全ての方に感謝をしています。

チケット代だって安くないのに、その上想いを込めて花を贈ってくれることを想うと、本当に、感謝しか無いです。

例えそれが自分宛ての花で無かったとしても、公演を応援して花を贈って下さる皆さんの気持ちは、僕のエネルギーに替えています。
そのお気持ちを受け止めながら、その時にしか味わえない、最高の演技を皆さんに観てもらえるよう役者人生を賭けて頑張ります。

心から、ありがとうございます。







取材を終えて



こちらのインタビューには、2時間近くのお時間を頂きました。
時に明るく、時に真剣な眼差しで……想像以上に沢山のお話をして頂きました。

その中で共通していたことは、お芝居への情熱と信念。ファンの方への強い感謝の気持ち。
こんな風にお伝えしてしまうと、薄っぺらく聞こえてしまいそうで申し訳ないですが、私たちSakaseruはすっかり瀬尾さんのファンになってしまいました。

「役者を諦めようと思ったことがない」というように、強い想いをはっきり口にされ、またインタビュー中、私が「ファンの方をすごく大切にされてるんですね」と言ったときには、声を大きくして「だってありがたいじゃないですか!」と仰られた瀬尾さん。

その一層のご活躍を、心から応援したい気持ちになりました。

またリアルな役者さんのお仕事と、そのファンの方のお話から、その繋がりの一つに「花」がある事。改めて私たちも感謝の想いを持ち、一つ一つ、お届けをさせて頂きます。

瀬尾さん、この度はお忙しい中インタビューにお答え頂き、本当にありがとうございました。
この場を借りて、改めてお礼申し上げます。

* * *

【今回インタビューさせて頂いた方:瀬尾タクヤさん】

次回出演予定は10/9-10/20にシアターサンモールにて行われる、『ハリトビ』(作・演出/堤 泰之)。
チケット等詳細はこちらからご覧下さい。
http://no-4.biz/haritobi/


※こちらの公演は終了致しました。



【取材・執筆】Sakaseruアスカ
【撮影】Sakaseru小柴

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