見上げる高身長。その身長に見合わないほどの小さなお顔。何等身くらいあるんだろう…とぽかんと見つめていると(9.12等身あるそうです)、おしゃれなサングラスを外し、ぺこ、と高い位置にある頭を下げてくれました。
この度インタビューにお答え頂いたのは、俳優の釣本南さん。エンターテインメント集団Candy Boy(2019年8月をもって卒業)としてのご活躍のほか、ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」"烏野、復活!“ 茂庭要 役など、2.5次元の舞台を中心に、現在も様々な分野で活動されています。
その半生と背景をお伺いしながら、お花に限らず応援して下さるファンの方へのお気持ちを、お話して頂きました。
釣本南さんは現在、29歳。これまでの人生は波乱万丈でした。
まず釣本さんの生活の中心を占めたのは、小学1年生のときに始めたサッカー。中学時代にはイギリスへのサッカー留学も経験します。
その上、出身中学・高校は、中高一貫の有名進学校。教育熱心な親御さんのもと、勉強にスポーツに、その才能を開花させます。
その頃のことを、釣本さんは少し懐かしそうな口調で語ります。
「高校卒業後、プロサッカー選手を目指していました」
輝かしいその未来を怪我により諦めなければならなくなった時、芸能界という選択肢は、まだありませんでした。
ご両親には進学するよう勧められますが、釣本さんは次第に、自身の興味の方向へ進んでいきます。
元々興味のあったアパレルの専門学校に入り、卒業を迎えた24歳の時に初めて、芸能界の扉を叩きました。
きっかけは「友人誘われて、面白そうだったから」。今でもオーディションは自然体で臨むという釣本さん、そんな堂々とした雰囲気を買われたのか、そのオーディションに受かります。
そこからなんと、一度きりだったはずのそのグループでの活動が、反響を受け、継続的な活動になったのです。
同時に事務所にも所属し、それからは歌にお芝居にと、活躍の場を広げていきました。
現在メインのお仕事とされている「お芝居」に出会ったのは、芸能活動を始めて1年目の時でした。
名前のない役どころで出演の決まったその舞台。衝撃を受けたのは、初めて出演者同士が集まり台本を読んでいく、読み合わせの場面でした。
「まだ読み合わせの段階なのに、主演の鈴木拡樹さんがすっかり役に入り込んでいて。仕草も目線も、役になりきっていました。
その様子に、役者って“格好いい”と思いました。僕、“格好いい” ことが好きなんです」
それを契機にして、次第に舞台の、芝居の面白さに目覚めていきます。
「その役のバックグラウンドを考えるのが好きです。
自分の役が描かれていないシーン、“その時” に自分の役が何をやっていたか、どういうことを思うか、とか。
そして何より、舞台にいるときのどきどき感。役による感情のアップダウン。それが毎日続いていくこと。他では味わえません」
そんなお芝居への情熱、「熱量」だけは誰にも負けないようにしたい、と釣本さんは語ります。
「舞台の世界には、子役の頃からお芝居をやって、歌をやって、という人たちがごろごろいます。その人達にお芝居の技術で競おうと思っても、すぐには勝てません。
でも全部負けていたら格好悪いですよね。だから“熱量”だけは並んでいたいんです」
だからこそ、全ての仕事において“全力”で臨むといいます。
「全力はとてもきついです。本当にきつい。辛いことは辛いけど、その先に待っているものがあるから、頑張れます」
またそこには、はっきりとした理由がありました。
「“いつ死んでも悔いのないように生きていきたい”と思っているんです。
去年の今頃に、母を亡くしました。その時、『人間いつ死ぬかわからない』と感じて、それからは、いきなり明日死んだ時に、後悔しない人生だったと思っていられるようにしています。
だから今を楽しみたい、仕事も楽しまないと意味がないんです」
そのために、心がけていることもあるそうです。
「全部自分で決める、というのは意識しています。
人間、誰かに……例えば、事務所の人に、マネージャーに『この仕事をやりなさい』と言われてうまくいかなかったら、その人のせいにしてしまうと思うんです。だから僕はやりたくない仕事はやらないし、やるならやると決めて取り組みます」
釣本さんの人生観に影響を与えたお母様のお話は、お花にも通じていきました。
「母は花が大好きで、うちの家はいつも花が飾られていました。ガーデニングも好きな人だったので、日常の中に花がよくありました。
それから役者になって、お花を頂くようになったことで、日常にあるものではなく、感謝の気持ちと共に、もらうものになっていきました」
また、花との関わりはそれだけではありません。
「この前ファンイベントを初めて開催しました。
人生で何かの一番になれることが滅多になかったので、自分が主役のイベント、その空間にいる人皆が僕のことを見に来てくれたというのが、すごく嬉しかったんです。
だから何か意味付けをしたい、と思って。自分の誕生花を調べて、それが『カラー』の花だとわかったので、“Color flower"というイベント名にしました」
そんなお花と縁ある釣本さんは、当然ながらファンの方からのお花を、とても大切にしています。
「“役者” の定義はすごく難しいですが、僕にとっては、お花を贈ってくれるような、応援してくれる人がいてはじめて “役者” になれると思っています。 そういう人がいなければ、舞台に立ってもただの自己満足でしかないと思うんです」
その感謝の気持ちから、一年半ほど前より、釣本さんはお花の立て札にサインを書き始めました。
「お花を贈るって普通、滅多にしないことじゃないですか。すごく好意的な人にしか贈らないもの。
だから花を贈るって素敵だなと、特別なものだなと思って大切にしています」
釣本さんの言葉で、ファンの方へのメッセージをお預かりしました。
「さっきも言ったんですが、お花を贈ってくれる人、劇場に足を運んでくれる人がいなければ、僕は “役者” ではなくただの自己満足で終わってしまいます。
役者でいさせてくれていること、本当にありがたいです。
あまたいる役者の中で僕を見つけて好きになってくれて、時間とお金を使ってくれて――そういう皆さんの人生を彩る手伝いを、舞台上からしていきたいなと思います」
自由で奔放なお人柄が、本当に魅力的な方でした。
このお人柄のベースは留学の時に培われたということでしたが、それだけではその魅力に説明もつかず、きっとその他のご経験も全て糧としているのではないでしょうか。
「“格好いい” ことが好き」、その言葉通り、大変格好いい方です。それはお顔立ちという話だけではなくて、ご自身の生き方、考え方に自信を持ち、ぶれずに進むその姿勢のこと。端正な面立ちの裏にある、真の魅力を垣間見た思いです。
釣本さん、この度はお忙しい中インタビューにお答え頂き、本当にありがとうございました。
この場を借りて、改めてお礼申し上げます。また今後のご活躍を心よりお祈り致しております。
* * *
【今回インタビューさせて頂いた方:釣本南さん】
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次回出演予定は2020年1月30日(木)~2月2日(日)、『私のホストちゃん』東京公演。
チケット等詳細はこちらからご覧下さい。
https://www.hostchan.jp/
【取材・執筆】Sakaseruアスカ
【撮影】Sakaseru小柴
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