「よろしくお願いします!」
鈴を転がすような声。ぺこりと頭を下げると、つややかな髪が細い肩の上で揺れます。――そのどれもが輝くようで、Sakaseruスタッフ達も同性ながら思わずため息です。
渋谷の喫茶店の中で、周囲とは骨格から違うその雰囲気。
この度インタビューにご協力頂いたのは、女優として舞台、映像作品にも数多く出演し、ライブ配信アプリ・17(イチナナ)の、選ばれた”公式ライバー”でもある、女優・須田スミレさん。Sakaseru通じお花をお届けさせて頂いたこと、そして須田さんご自身もお花が好きでいらっしゃることから、この度お時間を頂くことができました。
若くしてご活躍中の須田さんですが、ご年齢の話題では「もっと若くてもっと活躍している人たちも沢山いるので、ちょっと焦ってます」と冗談めかした言葉が。
須田さんはまだ21歳。”ごくフツーの社会人"をやってきたSakaseruスタッフにとっては、思いがけないことでした。目の前の方が、それだけ厳しい世界に生きているのだということを思い知らされます。
特別な世界。そこへ向き合うパワーの源。そしてファンの方からのお花について、お話をお伺いしました。
*
須田さんは群馬県前橋市のご出身。今でも”地元愛”に溢れるといいますが、本格的な芸能活動のため、高校卒業と同時に上京します。
「小学3年生くらいまでは何ごとにも自信が持てず、引っ込み思案でした。
人と目を合わせられないし、鏡も見られなくて。自分の顔が嫌というか、『顔を見ている自分を人に見られる』のが嫌、という感じで、"人の目"をとにかく気にしてました」
それが変わったのは小学3年生の時に始めたダンスがきっかけ。続けるうちに自信が持てるようになり、人の前に出るのが楽しい、と感じられるようになっていきました。
「実力がつくにつれて、自分で自分を認められるようになりました。
あと私、『褒められのび子』なので! だんだんできるようになって、褒められるのが嬉しかったんです」
そう言ってころころと笑うご様子からは、その時代の片鱗は見受けられません。
見事に”目立ちたがり”に変身した須田さんの小学校の卒業アルバムには、将来の夢として、しっかり「女優になりたい!」と書かれているそう。その頃から”女優”の軸はぶれないと言います。
また、女優、の他に変わらない軸がもう一つありました。
「私、すごく負けず嫌いなんです」
例えば女優の夢を語って笑われた時。普通なら気落ちしてしまいそうなものですが、須田さんはむしろ気持ちが強くなるというのです。
「いつか絶対見返すぞ、やってやるぞ、と思います」
そんな強い意思を持った少女が、夢への大きなステップを踏んだのは、高校卒業と時期を同じくして開催された、タレント養成所での公開オーディション。100社を超える芸能事務所関係者の前で、自己PRするというものでした。
そこで須田さんは数十社、同期の中で最も多いオファーを得ます。
選ばれる立場から途端に選ぶ立場へと変わって、初めて仕事を受けたのは18歳の時でした。
女優として少しでも上を目指したい、そう言う須田さんは、現在も努力を惜しみません。
昨年は主演舞台も経験しました。その役は”パワハラ”を受け自殺にまで追い込まれるものの、葛藤しながらも懸命に進んでいく役柄。会社づとめをしたことのない須田さんにとっては、未知の内容です。
どんな風に役作りをしているのでしょうか。
「ニュース記事や映画など、情報をたくさん集めて、見て、自分のものにしました。この役作りはとても大変で、心が病むような作業でした。笑
それから脚本家の方や演出家の方に、稽古場で時間を見つけてにとにかくお話を伺います。やっぱりそういった方が、一番はっきりとしたイメージを持っていると思うので。
だから私、飲み会とかはなるべく参加するようにしています」
稽古場では他の役者さんの観察も怠りません。
「他の人のお芝居を見ながら、自分がこの役だったらどうやれるかな、というのを考えたり、こんな表現の仕方があるんだ! と刺激をもらったり、常に学ばせてもらっています」
お芝居の現場以外でも、ダンスは身体を使った表現に活かし、モデルのお仕事ではカメラの前での自分の魅せ方を研究しているそう。一つ一つ真剣に取り組みながら、すべてをお芝居に繋げています。
なんだかハングリー精神が旺盛ですね、というSakaseruスタッフの言葉には、嬉しそうな表情を見せてくれました。
「私、ハングリー精神って言葉大好きです! それだけは他の人に負けてないと思っています。
私は地元から、夢だけを持って東京に出てきましたから」
華奢で可愛らしい見た目に相反するような、情熱的で向上心旺盛なギャップ。それはますます魅力的に須田さんを輝かせるのでした。
現在はフリーの身となった須田さん。女優という軸は変わりませんが、何が未来につながるかわからないため、様々なことに挑戦していると言います。
例えば、と須田さんはスマートフォンを取り出し、「この動画がちょっとバズったんです」と、ファンの方にも内緒でやっているTikTokを見せてくれました。
格別に拡散を狙ったわけではありませんでしたが、須田さんの魅力が全面に出たこの動画は、多くの人に見てもらえました。しかし拡散前のフォロワーは一桁で、元々の須田さんのファンの方が広めたというわけではありません。まさに須田さんの魅力がTikTokを通じて人々に”発見”されたと言えます。
「まずは多くの人に”須田スミレ”を知ってもらいたいと思っていますが、このTikTokのように、何が引っかかるかわかりません。なのでSNSでもライブ配信でもなんでも、色んなことをまずはやってみよう、と思っています」
最終的な目標を尋ねると、「感情を動かせる女優になりたい」とのお答え。
「涙を流してもらったり、笑ってもらったり……嫌われものの役でもいいんです。人の感情を動かせたら”勝ち”だと思います。
そういう意味で、人に影響を与える女優に、そして憧れられるような女優になりたいです」
須田さんの言葉でお伝えします。
「舞台に足を運んで下さった上でお花を贈ってくださる方、今回は行けないからお花を贈るね、という方、どちらも本当に感謝です。
お花には癒やされるし、見る度本当に、『本番頑張ろう!』と思います。帰るときも見ちゃいます。
私は黄色が好きなので、お花も黄色が多くて、わざわざ私の好みの色を、私のために選んでくれているという気持ちが本当に嬉しいです。
お花は必ず少しずつでも持ち帰って、花束なんかは自分でドライフラワーにしています。
自分宛のお花を見ると、本当に背中を押されます。皆さん本当にありがとうございます」
「可愛いだけでは芸能活動はやっていられないのだ」、と心から思った取材でした。
須田さんとお話していて感じたのは、21歳というご年齢以上に本当にしっかりされていて、自分の頭で考えて行動をしていること。
また自分のことだけでなく、応援してくださるファンの方、周囲の方へのお気持ちも情熱的に胸に秘めていらっしゃいました。取材の中で「ちゃんと夢を叶えて、応援してくれてる両親に恩返ししたいです」という言葉もあり、21歳の頃の自分にこれが言えるだろうかと、思わず自分の人生を振り返りました。
泣く泣く省いてしまったのですが、「辛いことがあったからこそ今がある」「オーディションに落ちても『なにくそ!』と思う」など、須田さんの負けず嫌いと向上心を感じさせるお話を沢山伺うことができました。
その活躍を応援したくなると同時に、「この方は私が応援しなくても、その輝かしい未来を掴むのかもしれない」とも感じました。また一方で、「少しでも力になれたら、それはとても嬉しいことだなあ」、とも。
陰ながら、Sakaseruスタッフも須田さんのご活躍を応援しております。
この度はお忙しい中お時間頂きまして、本当にありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。
* * *
【今回インタビューさせて頂いた方:須田スミレさん】
次回出演予定は、りらっくすvol.9『タイムバックアゲイン』
チケット予約受付は10月頭予定。
詳細は以下URLよりご確認下さい。
りらっくすvol.9『タイムバックアゲイン』2019年11月12日(火)〜11月17日(日)
https://twitter.com/Unitrelax/status/1168357898218438656
※こちらの公演は終了いたしました。
【取材・執筆】Sakaseruアスカ
【撮影】Sakaseru小柴
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