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「顧客満足度を意識する」女優・佐倉仁菜 熱意と義理と人情と

涼やかな目元の、華奢で背の高い女性。先に待ち合わせ場所に来ていたスタッフはひと目見た瞬間に「オーラが違う」、と感じましたが、やはりその人が佐倉仁菜さんでした。

舞台、映像作品、グラビアなど、ご活躍の幅を広げる佐倉さんは、実はSakaseruにとっても、ちょっと特別な方。
SakaseruのTwitterを昨年7月に開始してから、初めてリプライを下さった演者様が佐倉さんでした。(当時、中の人はものすごく感激でした…!)

芸歴も10年近く、長年ご活躍をされているにも関わらず、そんな風に誰に対しても、気取ることなく接して下さる佐倉さん。今回は奇しくもその姿勢の裏にあるお気持ちを伺うことができました。
デビューから今に至るまで大切にしていること、新たに大切にするようになったこと、大切なファンの方への想い――佐倉さんのお人柄と共に、お伝えさせて頂きます。



芸能界デビュー 今も通じる仕事への姿勢



佐倉さんの芸能界のデビューは高校三年の時、地元北海道でスカウトを受けたのがきっかけでした。

「もともと芸能界や女優の仕事に興味があったのと、高校卒業のタイミングとも近かったので、丁度良いと思って。高校卒業と同時に上京することを決めました」

年若くして、女優を目指しての上京。その背景には、お母様からの応援もありました。

「反対はされず、『人生は一度しかないから、やりたいことがあるならやってみな』と言ってくれました」

当時から現在まで、お母様に金銭的な援助は求めず、自分の力で東京生活をスタートさせたという佐倉さん。そんな年齢以上にしっかりとした娘さんへの信頼が、その裏にはあったのかもしれません。

そんな後押しを経て、佐倉さんは女優を目指し上京しました。
しかし、デビューの際用意されたのは、肌の露出を伴う“グラビア”の仕事。その頃、グラビアというジャンルが加熱しており、若い佐倉さんの認知度を広めるために、まずはグラビアから、という事務所の意向でした。
その時佐倉さんは18歳。思春期を終えたばかりの年頃、多少なりとも抵抗はあったそうです。しかし、そこから逃げ出すことはしませんでした。

「まずはやってみようと思いました。そして取り組んでいくうち、グラビアという仕事を誇れるようになり、好きになっていきました。
現在の仕事に活きている部分も、沢山あります。グラビアと言っても様々な種類があるのですが、例えばストーリー仕立てのもの。これは表情の作り方や演技といった部分で、お芝居にも通じています。
普通のお芝居と比べてかなり非日常的な展開があったりするので、すごく鍛えられました。笑」





「グラビアの映像って、結構面白いですよ!」笑顔で話す佐倉さんは、そうして、想定していなかった仕事に対しても正面から取り組み、学ぶべきことを吸収していきます。

取材の中で、今後の目標は、と尋ねた際にも「目の前の仕事をひとつひとつ、一生懸命取り組むだけです」と答えてくれました。デビュー当時からのその姿勢は、現在、一層の広がりを見せています。



仕事への取り組み “顧客満足度”を考える女優



「私、フリーになってから“顧客満足度”はすごく重視してるんです!」

取材をしていた私たちは思わず、顧客満足度ですか、と聞き直しました。ビジネスの場面では頻繁に聞かれる言葉ですが、役者さんから聞いたのは初めてでした。
フリーになったことで、“顧客満足度”――目の前の仕事に一生懸命、の先が見えるようになったと言います。

「お芝居でもイベントでも、お金を出して参加したものに“満足”してもらうことが一番重要だと思っています。
そのためにいつも『これはお客さんから見て、金額に見合っているかな?』ということを考えています」

見合っていないのではないかと感じた時は、サービスを追加するなど、お客さんに提供できることを数々提案してきました。例えば、公演最後に話せる時間を作るなど、公演の企画側とも話し合い、演者側にも負担になりすぎない範囲を探りながら実現していきます。

また、“顧客満足度”という観点から始めたこともあるそう。
例えば3、4年前から参加している“スナック27”。これは佐倉さんがスナックのママとしてカウンターに立ち、来てくれたファンの方々に手ずから料理やお酒を振る舞うイベントです。

「自分が応援していて好きだと思っている子が、料理を作ってもてなしてくれる。それってそうそう、ないことですよね。だからすごく喜んで貰えるんじゃないか、と思ったんです」

料理上手な佐倉さんが、何日も前から仕込みをして、当日を迎えるそのイベント。そこではとてもあたたかい空間が作られているといいます。

「私、ファンの皆さんが本当に大好きなんです。優しい人、いい人しかいなくて。
“スナック27”は大好きなお酒を飲みながら、大好きな人たちと交流する時間です。喜んで貰えて、私もファンの皆さんを近く感じられる……大切なイベントです」

大人っぽくクールな印象も受ける佐倉さんの表情が、この日一番柔らかく輝きました。





「縁」「義理」――巡る繋がり



ファンの方を大切にするのと同じくらいに、佐倉さんは仕事をする上で、人との「縁」や「義理」を大切にしているそうです。

「芸能界は特に人との繋がりが重要な世界だと思っています。こうして取材を申し込んでもらったのも、ファンの方がお花を贈って下さったから。この取材も、何か次に繋がるかもしれません」

佐倉さんのTwitterには、日常のつぶやきやご自身の活動のほか、他の女優・俳優の方々の公演・イベントに関するリツイートが数多く並びます。
それも佐倉さんの「縁」を大切にするかたちの一つ。

「でも『これをしてあげたら、こうしてもらえるかも』というような期待はしません。期待して何かをするのではなく、まず、“誰かのためになること”をします。それが回り回って、仕事や人に繋がっていくんです」

それは確信に満ちた言葉。これまでも実感する場面は多かったといいます。

「事務所の方には本当にお世話になったので、事務所に所属するありがたさは心から実感しています。ただ、今は直接自分に仕事を頂けるので、人との繋がりを最大限に活かすことができます。それはフリーの強みだなと思っています」



ファンの皆さまへの言葉



最後にお花を贈る方、お花以外の形で佐倉さんを応援する皆さまへ、伝えたいことをお伺いしました。
佐倉さんの言葉でお伝えします。

「まず、いつもありがとうございます、という感謝の気持ちが一番です。
お金と時間をかけて見に来て下さったり、会いに来て下さったり、お花まで送って下さったり……本当にありがたいです。ファンの方の応援は、私の心の支えでもあります。

何があるかわからない人生、一生この仕事を続けていくわけではないかもしれません。でも私が表舞台に立てている間は、応援されるような人間で居続けられるよう、頑張ります。

応援してくださってる皆さん、本当にありがとうございます」





取材を終えて



美しい女社長さん、と紹介しても違和感のないような、きりりとした印象に、思わず見とれながら取材をさせていただきました。またそれは見た目の印象だけでなく、迷いのない簡潔な言葉や、話す内容にも表れています。きっと、佐倉さんの中で大切にしていることが一貫していて、またそれを常に意識して仕事に取り組んでいらっしゃるのだろう、と感じられます。

ファンの方に「喜んでもらいたい」と何度も仰っていた佐倉さん。取材をしていて、ファンの方が羨ましくなるほどでした。
これからも、常に一人ひとりのファンの方、そして周囲の方のことを大切にしながら、ご活躍を続けていかれるのでしょう。

現在は舞台のお仕事が多いものの、今後はその頻度を減らし、映像作品なども積極的に出演される予定とのこと。今後のご活躍がますます楽しみです…!!(舞台で生のお姿を沢山拝見できる機会も減ってしまうかも…!?)

佐倉さん、この度はお忙しい中インタビューにお答え頂き、本当にありがとうございました。
この場を借りて、改めてお礼申し上げます。また今後のご活躍、心よりお祈り致しております。

* * *

【今回インタビューさせて頂いた方:佐倉仁菜さん(@nina_sakura0529)】

次回出演予定は2019年11月7日(木)〜11月17日(日)、新宿シアターミラクルにて行われるHYP39LOVE Vol.1「だからどうした」。
チケット等詳細はこちらからご覧下さい。
https://www.quartet-online.net/ticket/hyp39love


※こちらの公演は終了いたしました。



【取材・執筆】Sakaseruアスカ
【撮影】Sakaseru小柴(冒頭の写真のみ佐倉さまご提供)

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